2015年12月22日

山ブドウワイン

毎年9月になると園内の山ブドウが黒く色づき初めます。
昨年(平成26年)は7月から8月にかけて暑い日が続いたからでしょうか、例年になく山ブドウが沢山実りました。山ブドウには雄株と雌株がありますが、雌株にだけ実が成ります。ところが、昨年は今まで全く実がついたことがないので雄株だと思っていた株にも大粒の実がいっぱいついたのです。

しかし、多くのブドウの蔓は陽の光を求めて高さが20m以上はある針葉樹に絡みついて上へ上へと伸びているため、そう簡単には収穫することができません。さらに高い所ほど日当たりがよいので粒の大きな房がいっぱい生るのです。そこで、数年前に比較的背の低いところに伸びていた山ブドウを間伐したイチイやサワラなどの枝で作った棚に這わせる(所謂棚作り)ことにしたところ、翌年からは粒も房も大きく沢山生るようになりました。

ただし、今年(平成27年)は5月初旬にこそ30℃を超える暑い日が数日ありましたが、それ以降は例年であれば6,7月と30℃を超える陽射しの強い日が結構続くのですが、そのような日はあまり続かず8月初旬を過ぎると急速に秋めいて気温の上がらない日が続きました。そのせいか昨年に比べるとブドウの粒も小ぶりで、9月に入っても青い粒が目立っていました。

棚作りの山ブドウ(平成27年9月3日撮影)
150903ブログ画像 004.JPG

収穫直前の山ブドウ(平成27年9月28日撮影)
150929ブログ画像 024.JPG

10月初め山ブドウを収穫しました。サッと水をかけてゴミを流し、黒く熟しているブドウ粒だけを房から一粒づつ手作業で外します。山ブドウの粒は他のブドウに比べると粒が小さく硬く、しっかりと梗に着いているため結構指先に力が必要になります。(そのため台風などでも簡単には落ちない)
ブドウ粒を潰して糖度計で糖度を測定してみます。約14度、昨年のブドウは16度ありましたので少し糖度が低いようです。この収穫の時期もよいワインを作るためには大事な要素のようですが、今年は少し早かったのかも知れません。

ブドウの粒を外して糖度を測定する(10月1日撮影)
暴風低気圧来襲 008.JPG

同時に並行して梗から外したブドウの粒を手またはスリコギで潰します。山ブドウは他のブドウに比べて果皮が厚く種も大きいので果肉の割合が少なく、果皮には食用ブドウの9倍のポリフェノールが含まれているとのことです。それ故にその果汁は他のどのブドウよりも濃い赤色となり、手や布、グラスに着いた赤い色はなかなか取れないほどです。

外したブドウの粒を手またはスリコギで潰します(10月4日撮影)
低気圧その後 010.JPG

潰した山ブドウはそのまま置いておいても果皮に白く付着していた酵母菌により自然発酵しますが、糖度が14度〜16度と低いため最終的にはアルコール度が7,8%にしかなりませんので雑菌が繁殖したりして長期の保存が難しくなります。従ってさらにアルコール度を高める必要があります。
アルコール度は大よそ糖度の半分と言われていますから、例えば15%のアルコール度を目標とするのであれば糖度は30度近くに上げてやらなければなりません。そこで糖度を上げるためにブドウ糖を追加してやる(加糖といいます)のです。糖度を14度から30度に上げるためにはどのくらいのブドウ糖を加糖しなければならないか? 計算をして答えを出しますがKg単位のブドウ糖が必要になります。結構多い量になります。

その前になぜ糖がアルコールに変化するのか説明が必要です。ブドウを潰してそのまま放置して置くと自然発酵すると書きましたが、ブドウに含まれる糖は一定の温度の下では発酵菌(イースト菌)により化学反応を起こしアルコールと炭酸ガスに分解されます。炭酸ガスは空中に放出されますがアルコールはブドウの搾り汁の中に溶け込みます。ブドウを潰して果皮と種や果肉(場合によっては果梗も含む)と一緒に発酵させる過程を一次発酵といいます。

潰した山ブドウ(果皮と種と果肉と果汁が混じったもの)にイースト菌とブドウ糖を加えて発酵させます
151013ブログ画像 005.JPG

一定期間発酵させた後、肌理の細かい布で濾して果皮や種を取り除きます。そしてその搾った果汁を別の瓶やボトルに入れ栓をしてエアロックといわれるガラス製の一種の漏斗(中に水を入れて発生する炭酸ガスを放出するが、空気の侵入を防ぎ果汁の酸化を防ぐ道具)を装着して更に発酵を継続します。この発酵の過程を二次発酵といいます。やがて炭酸ガスの発生が無くなった段階でワインボトルに詰め打栓機を使用してコルクなどで打栓をします。

手前中央がエアーロックと晒布
シーズン最後の収穫、マウレ、漬物 005.JPG

潰して発酵(一次発酵)させたブドウを濾して果皮や種を取り除く
シーズン最後の収穫、マウレ、漬物 006.JPG

参考にした書籍類
北海道ワイナリーと園内の紅葉 004.JPG

posted by ぼたん園々主 at 19:05| Comment(0) | 日記