2019年06月11日

「クララ・シューマン」

  令和元年6月11日(火)10:50AM、この記事を書き始めた。ここは、川崎の自宅の我が書斎である。

  僕が、今でも最も好きな曲のひとつはシューマンの作曲したピアノ曲「トロイメライ」である。ピアノ曲集「子供の情景」のなかの一曲である。特に、ホロヴィッツの演奏する「トロイメライ」を聞くと、どんなときでも心が落ち着き、やさしい気持ちになれる。

  クララ・シューマンはクラシックファンにとっても、ほとんどはシューマンの妻として知られているだけで、ブラームスが好きなクラシックファンであれば、彼が生涯独身で通したのはクララ・シューマンを理想の女性として慕い続けていたからだ、などと知っているのではなかろうか。じつは僕も、その程度の知識しか持ち合わせていなかった一人である。

  この本を読むと、クララはクララ・ヴィークとして8歳のときにデビューしたときから、天才少女ピアニストとして名声を高め、21歳で9歳年上のロベルト・シューマンと結婚するが、彼は結婚の数年後から精神を病むようになり、ついには46歳で世を去ることになる。その間クララは7人の子どもを生み、ピアノを弾くことで夫の療養費と子どもたちの教育費と生活費をまかない、夫と子どもたちを守り抜く。

  そして、夫ロベルト・シューマンの没後も、40年間にわたって夫の作品を世に出すべく各地の演奏会で弾き続け、作品を整理、校訂し、シューマン全集の出版にも携わるなど、今日のロベルト・シューマンの評価に繋がる努力をし続けた。さらには、生涯にわたり作曲の才能を発揮し、優れた楽曲を多数残してもいる。

  また、76歳の生涯のうち44年間に及ぶヨハネス・ブラームスとの関係は、僕のような凡人には窺い知ることができないが、興味深いものである。

  いづれにしても、人として、妻として、母として、そして才能ある音楽家として、その生涯を毅然として生きた一人の女性の感動的な事実の物語である。

<「クララ・シューマン」 萩谷由喜子著 ヤマハミュージックエンタテインメントホールデイングス 編集 河西恵里>
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<日経新聞 令和元年6月1日(土)読書欄に掲載された記事。写真を左クリックで拡大できます>
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posted by ぼたん園々主 at 12:43| Comment(0) | 日記